「特定技能でミャンマー人を雇用するにはどうすれば良いの?」
「雇用するメリットを詳しく知りたい」
「雇用に失敗しないための注意点を知りたい」
外国人人材の採用を考えた際、このような疑問が生まれるのではないでしょうか?
本記事ではわかりやすくまとめながら特定技能でミャンマー人を雇用するために必要な要件、ミャンマー人を雇用するメリット、ミャンマー人を雇用する際の注意点についてお伝えしていきますので外国人雇用に興味がある方はぜひ内容をご覧ください。
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執筆者:正木 圭
2018年に株式会社マックスに入社。
その後、2019年の特定技能制度の創設に伴い、登録支援機関業務を担当。
現在では特定技能に加え、様々な外国人材への職業紹介と支援に取り組んでいる。
執筆者:正木 圭
2018年に株式会社マックスに入社。
その後、2019年の特定技能制度の創設に伴い、登録支援機関業務を担当。
現在では特定技能だけでなく、様々な外国人材への職業紹介と支援に取り組んでいる。
運営会社:株式会社マックス
創業25年の外国人人材紹介・派遣会社。
人材派遣、特定技能受入れ支援(登録支援機関)、高度外国籍人材紹介、教育・研修など外国籍人材に関わるさまざまな事業を展開。
採用を検討している企業様に対しワンストップのサポートを提供している。
運営会社:株式会社マックス
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特定技能を活用して働くミャンマー人は1万人以上
近年では特定技能を活用して日本で働いているミャンマー人も増加傾向にあり、現在国籍別でみても5番目に多い人数になっています。
具体的な数としては、厚生労働省が公開している最新の統計では2023年12月末時点で特定技能を活用して日本で働いているミャンマー人は11,873人になります。
参考文献:特定技能制度運用状況等について
多くのミャンマー人が日本で働くのは経済的な問題が理由
ミャンマーの経済的な問題が日本で働くミャンマー人を増やしている理由の1つです。
ミャンマーの貧困率は約37%と、世界平均よりも高くなっています。
また、ミャンマーの平均月収は約1~2万円と、日本と比べて非常に低いです。
一方、特定技能を活用しての就労では平均月収は約30万円と、ミャンマーの約15倍であり、年間300万円以上の収入を得ることが可能となります。
そのため、ミャンマー人にとって、特定技能を活用して日本で働くことは、自分自身や家族の生活を大きく向上させるチャンスとなることから多くのミャンマー人が日本で働くことを選択しています。
ミャンマー人を雇用する際の必要になる雇用企業側の要件
特定技能でミャンマー人を雇用するために雇用企業は以下の3つの項目の要件を満たす必要があります。
雇用企業が満たすべき3つの要件 |
---|
①送出機関との契約 ②適切な雇用契約を締結していること ③各分野の協議会に加入すること |
【要件①】 送出機関との契約が必要
受入企業はミャンマー政府が認定した送出機関を通じて、特定技能として働くミャンマー人の求人と雇用契約を行う必要があります。
これは、2022年4月に施行された特定技能外国人法に基づくものです。
送出機関を通さない人材雇用は違法になり、罰則の対象になりますので注意が必要です。
送り出し機関を通す目的は以下になります。
- ミャンマー人と日本の受入企業とのマッチングを円滑にするため
- ミャンマー人の日本語能力や技能を適正に評価するため
- ミャンマー人の入国前から入国後まで必要なサポートを提供するため
- ミャンマー人と受入企業との間のトラブルを防止するため
【要件②】 適切な雇用契約を締結していること
雇用企業は特定技能でミャンマー人を雇用する際には適切な雇用契約を締結し、内容を労働基準法に基づいて定める必要があります。
具体的には、以下の内容を記載する必要があります。
- 職種
- 労働時間
- 休憩時間
- 賃金
- 社会保険加入
- 雇用期間
- 解雇条件
- その他、労働条件に関する事項
日本で働くミャンマー人にも日本の労働基準法が適用になりますので、労働基準法に違反した雇用は罰則の対象になりますので注意が必要です。
【要件③】 各分野の協議会に加入すること
特定技能でミャンマー人を雇用する場合、雇用主は該当する分野の協議会に加入する必要があります。
協議会への加入は特定技能でミャンマー人を受け入れてから4ヶ月以内に行う必要がありますので加入忘れには注意が必要です。
協議会の目的
協議会は、外国人雇用に関する情報提供や研修、相談窓口などのサービスを提供し、特定技能制度の円滑な運用を支援する目的があります。
ミャンマー人を雇用する際の必要になるミャンマー人側の要件
特定技能でミャンマー人を雇用する際のミャンマー人側が必要になる要件には以下の6つがあります。
【ミャンマー人側が満たすべき6つの要件の一覧表】
6つの要件 | 詳細 |
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海外労働身分証明カードへの取得 | 海外労働身分証明カード(OWIC)は、特定技能で日本に滞在するミャンマー人が取得する身分証明書 |
年齢 | 満18歳以上であること |
技能 | 分野ごとの特定技能の技能検定に合格していること |
日本語能力 | 日本語能力試験N4に合格していること |
健康状態 | 入国時に、伝染病その他の疾病にかかっていないこと |
犯罪歴 | 過去に重大な犯罪を犯したことがないこと |
これらの必要になる要件を満たしていない場合は、特定技能としてミャンマー人を雇用することができませんので注意が必要です。
ミャンマー人を特定技能で雇用する際にかかる費用
特定技能でミャンマー人を雇用する際に必要になる費用を以下の表にまとめていますので参考になさってください。
掛かる費用の項目 | 相場 |
---|---|
登録支援機関への委託費用 | 毎月約2〜3万円 |
送出機関への手数料 | 20〜30万円程度 |
在留資格認定や入管申請の書類作成費用 | 10〜20万円程度 |
出入国在留管理局への収入印紙代 | 4,000円 |
渡航費 | 約4〜15万 |
健康診断の費用 | ※オプション追加の場合は4〜5万円程度 | 約2〜3万円
給与 | 約20〜30万円 |
これらの費用はあくまで目安であり、経験や能力が高いほど、給与が高くなります。
また、ミャンマー人を雇用する際には必ずミャンマー政府が公認している送出機関を通す必要がありますので注意が必要です。
ミャンマー人を特定技能で雇用する際の2つの申請の流れ
ミャンマー人を特定技能で雇用する申請の流れは「海外に在留しているミャンマー人を雇用するのか」「日本に在留しているミャンマー人を雇用するのか」によって異なります。
それぞれの申請の流れをお伝えしていきます。
【ルート①】海外に在留しているミャンマー人を雇用する場合
海外に在留しているミャンマー人を雇用するまでの流れをお伝えしていきますので参考になさってください。
- 送出機関を通して人材を探す。
- 雇用契約を締結
- 在留資格認定証明書交付の申請
- 海外労働身分証明の申請
- ビザ発給申請
- 特定技能として入国して就労開始
1.送出機関を通して人材を探す。
ミャンマーに在留しているミャンマー人を雇用する際には、受入企業はミャンマー政府認可の送出機関を通して人材を探す必要があります。
また、受入機関が求人を出す際にはミャンマー労働・入国管理・人口省(MOLIP:Ministry of Labour, Immigration and Population)に求人票を提出し、求人票の許可・承認を得る必要がありますので注意が必要です。
ミャンマー政府が認定している送出機関は100社ほどありますが、送出機関を選ぶ際には、以下の点に注意しましょう。
- 雇用を考えている職種分野の実績があること
- 日本語対応ができること
- 必要なサポートを提供できること
- 手数料が明確であること
2.雇用契約を締結
受入企業とミャンマー人求職者が合意すれば、送出機関を通して雇用契約を締結していきます。
雇用契約書には、以下の事項を記載する必要があります。
- 職種
- 勤務時間
- 休憩時間
- 賃金
- 休暇
- 社会保険加入
- 雇用期間
- 解雇条件
- その他
3.在留資格認定証明書交付の申請
ミャンマー人を雇用するには、地方出入国在留管理局に在留資格認定証明書の交付申請を行う必要があります。
在留資格認定証明書の交付申請には、以下の書類が必要です。
- パスポート
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 特定技能外国人雇用許可証
- 技能試験合格証など
4.海外労働身分証明(OWIC)の申請
ミャンマー人が特定技能で日本に働きに来るためには、在留資格認定証明書の交付後に、ミャンマー労働・入国管理・人口省(MOLIP)海外労働身分証明カード(スマートカード)の申請を行う必要があります。
海外労働許可証(OWIC)の申請は、ミャンマー人本人が行う必要があります。
海外労働許可証(OWIC)の申請に必要になる書類と費用は以下になります。
必要書類 | パスポート 在留資格認定証明書写真(2枚) 申請用紙 その他(MOLIPが必要と判断したもの) |
---|---|
費用 | 約30-40ドル |
発行期間 | 2週間-数ヶ月 |
5.ビザ発給申請
次に特定技能ビザの申請を行います。
特定技能ビザの申請には以下の書類が必要になります。
- 在留資格認定証明書
- パスポートなど
6.特定技能として入国して就労開始
ビザが交付されたら、ミャンマー人は来日することが許可され、就労を開始することができます。
【ルート②】日本に在留しているミャンマー人を雇用する場合
日本に在留するミャンマー人の雇用を行う場合は以下の申請の流れが一般的です。
- 雇用契約を締結
- パスポートの(更新)申請
- 在留資格変更許可申請
- 就労開始
1.雇用契約を締結
まず、受入企業は特定技能外国人として受け入れたいミャンマー国籍の人と、特定技能に関する雇用契約を締結します。
日本に在留しているミャンマー人の求人を行う際には、現地の送出機関を通す必要がなく、直接採用活動を行うことが可能です。
2.パスポートの(更新)申請
雇用契約を行ったら、日本に在留しているミャンマー人は、在日本ミャンマー大使館においてパスポートの(更新)申請を行う必要があります。
パスポート更新に必要な書類は以下になります。
- 申請書
- 最近6ヶ月以内に撮影された写真2枚
- 現在のパスポート原本とコピー
- 在留カードの両面コピー
- 所得税納付申請書(Tax Form)
- 在職証明書(会社印が必要)
- 給料明細書3ヶ月分(月収20万円以下の方のみ)
- パスポート更新手数料と振込をしたレシート
- 所得税納付時の振込をしたレシート
3.在留資格変更許可申請
ミャンマー国籍の人が特定技能外国人として就労するには、自身が地方出入国在留管理官署に「特定技能」への在留資格変更許可申請を行います。
日本にいるミャンマー人を特定技能で雇用する際には、推薦状の発行は必須ではありません。
また、在留資格の変更には2ヶ月ほど掛かるので期間に余裕を持って申請することも大切になります。
4.就労開始
在留資格の変更申請の許可が下りれば、就労を開始できます。
ミャンマー人を特定技能で雇用する3つのメリット
特定技能を活用してミャンマー人を雇用する際には3つのメリットがあります。
ミャンマー人を雇用する3つのメリット |
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①勤勉な国民性 ②集団主義の国民性 ③若い人材の確保が可能 |
【メリット①】勤労な国民性
ミャンマー人は勤勉な国民性を持ち、日本での労働に適応しやすいメリットがあります。
ミャンマーは上座部仏教が盛んな国であり、国民の約8割が仏教徒です。仏教の教えの中には、「努力は報われる」「怠惰は悪である」といったものがあり、こうした考え方がミャンマー人の勤勉さを支える基盤となっていると言われています。
勤勉で真面目で時間を厳守する国民性は日本の国民性と類似しているため、日本での労働環境に適応しやすく、周りの日本人からも受け入れられやすい傾向にあります。
職場環境に適応しやすいことで離職率を軽減することができ、長期的な人材確保の期待ができます。
【メリット②】集団主義の国民性
ミャンマー人は強い集団主義の国民性を持っているので、チームで働く企業に適応しやすいというメリットがあります。
集団主義とは、家族や地域社会を重視し、個人の利益よりも集団の利益を優先するという考え方です。
ミャンマーは上座部仏教が盛んな国であり、仏教の教えの中には、「他者への思いやり」や「調和」といったものがあり、こうした考え方がミャンマー人の集団主義を支える基盤となっていると言われています。
このような考え方は、チームワークを重んじる日本企業に適応しやすい傾向にあります。
チームワークを大切にできることで周囲との円滑なコミュニケーションにも繋がり、企業にとってもチームワークの強化に繋がり業績の向上を期待できます。
【メリット③】若い人材の確保が可能
特定技能を活用してミャンマー人を雇用することは、若い人材を確保できるメリットがあります。
少子高齢化社会の日本と違い、ミャンマー人の平均年齢は27.1歳であり、若い働き盛りの人材が多くいます。しかし、ミャンマーの経済が停滞傾向にあり、働く環境が日本に比べて整っていません。
ですので、特定技能を活用してミャンマー人を雇用することは、ミャンマーの若い人材にとっても良い環境での就職が可能になり、日本の企業にとっては人材の高齢化の改善と長期的な人材の確保できるメリットがあります。
参考文献:【ミャンマー】国勢調査に見る市場像
ミャンマー人を特定技能で雇用する際の3つの注意点
特定技能を活用してミャンマー人を雇用する際には3つの注意点があります。
ミャンマー人を雇用する3つの注意点 |
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①送出機関を通す必要がある ②海外労働身分証明(OWIC)の手続きが必要 ③国民性の理解が必要 |
【注意点①】送出機関を通す必要がある
特定技能を活用してミャンマー人を雇用する際には、受入企業はミャンマ政府から認定を受けた現地の送出機関を通して人材と契約する必要がありますので注意が必要です。
ミャンマー政府から認定されている送出機関は100社程あります。
出入国在留管理庁が発表している認定機関の一覧は以下のPDFから確認することが可能です。
送出機関一覧:ミャンマーの認定送出機関(PDF)
受入機関を通さずにミャンマー人を雇用すると、職業安定法に違反する可能性があり、それによって罰則を受けるリスクがありますので注意が必要です。
また、受入機関を利用することにより、適切な手続きを経て外国人労働者を雇用することができ、労働者の権利を守るとともに、企業側も法的なリスクを避けることができます。
参考文献:ミャンマーに関する情報
【注意点②】海外労働許可証(OWIC)の手続きが必要
特定技能でミャンマー人を雇用するには、海外労働許可証(OWIC)の申請手続きが必要になりますので注意が必要です。
海外労働許可証(OWIC)は、ミャンマー人が特定技能外国人として日本で働くために必要な許可証です。
発行期間 | 有効期限 |
---|---|
約2週間-数ヶ月 | 5年 ※5年ごとの更新が必要 |
このカードを取得するには、ミャンマー国内と日本側でそれぞれ手続きを行う必要があり、発行には約2週間~数月程掛かりますので、雇用をスタートする日程から逆算して余裕を持って準備することが大切です。
また、海外労働許可証(OWIC)の有効期限は5年であり、5年ごとに更新が必要になりますので更新忘れがないように注意する必要があります。
【注意点③】国民性の理解が必要
特定技能でミャンマー人を雇用する際には、「挨拶の習慣の違い」に注意する必要があります。
ミャンマーでは元々言葉で挨拶を交わす習慣がないため、すれ違っても無言か、微笑むだけというミャンマー人も多くいます。
一方日本では、挨拶を大切にする習慣がありますので、ミャンマー人を特定技能で雇用する際には、挨拶の習慣についての教育を行っていくことが大切になります。
また、企業側もスタッフにミャンマー人との習慣の違いの教育を行い、雇用する前から理解を得とくことも、問題を未然に防ぐために重要になります。
特定技能でミャンマー人を雇用するには多くの手続きが必要になりますが、ミャンマー人を雇用することは「勤勉な国民性」「集団主義の国民性」「若い人材の確保」など企業にとっては多くのメリットがあります。
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