「特定技能でカンボジア人を雇用するにはどうすれば良いの?」
「雇用するメリットを詳しく知りたい」
「雇用に失敗しないための注意点を知りたい」
外国人人材の採用を考えた際、このような疑問が生まれるのではないでしょうか?
本記事ではわかりやすくまとめながら特定技能でカンボジア人を雇用するために必要な要件、カンボジア人を雇用するメリット、カンボジア人を雇用する際の注意点についてお伝えしていきますので外国人雇用に興味がある方はぜひ内容をご覧ください。
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執筆者:正木 圭
2018年に株式会社マックスに入社。
その後、2019年の特定技能制度の創設に伴い、登録支援機関業務を担当。
現在では特定技能に加え、様々な外国人材への職業紹介と支援に取り組んでいる。
執筆者:正木 圭
2018年に株式会社マックスに入社。
その後、2019年の特定技能制度の創設に伴い、登録支援機関業務を担当。
現在では特定技能だけでなく、様々な外国人材への職業紹介と支援に取り組んでいる。
運営会社:株式会社マックス
創業25年の外国人人材紹介・派遣会社。
人材派遣、特定技能受入れ支援(登録支援機関)、高度外国籍人材紹介、教育・研修など外国籍人材に関わるさまざまな事業を展開。
採用を検討している企業様に対しワンストップのサポートを提供している。
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特定技能を活用しているカンボジア人は4,000人以上
特定技能を活用して日本で働いているカンボジア人は人数的には多くないですが、近年、急増傾向にあります。
具体的な数としては、厚生労働省が公開している最新の統計では2023年12月末時点で特定技能を活用して日本で働いているカンボジア人は4,664人になり、2020年の1,872人から2倍以上になっています。
参考文献:特定技能制度運用状況等について
多くのカンボジア人が日本で働くのは経済的な問題と安定した生活を手に入れるため
カンボジアの経済的な問題が日本で働くカンボジア人を増やしている理由の1つです。
カンボジアの平均月収は約2万円と、日本と比べて非常に低く、特定技能を活用しての就労では平均月収は約30万円と、カンボジアの約15倍になります。
また、安定した生活を手に入れたいという理由もカンボジア人が急増している理由の一つです。
カンボジアは、政治や経済が不安定な国であるのに対して、日本は、政治経済が安定しており、生活が安定している国として認識されています。
そのため、カンボジア人にとって、特定技能を活用して日本で働くことは、経済的な面の問題を解決し、安定した生活を手に入れることに繋がり、自分自身や家族の生活を大きく向上させるチャンスとなることから多くのカンボジア人が日本で働くことを選択しています。
カンボジア人を雇用する際の雇用企業側の要件
特定技能でカンボジア人を雇用するために雇用企業は以下の4つの項目の要件を満たす必要があります。
雇用企業が満たすべき4つの要件 |
---|
①送出機関との契約 ②適切な雇用契約を締結していること ③各分野の協議会に加入すること ④過去1年以内に解雇等の会社都合の退職者や行方不明者がいないこと |
【要件①】 送出機関との契約が必要
受入企業はカンボジア政府が認定した送出機関を通じて、特定技能として働く人材と雇用契約を行う必要があります。
これは2022年4月に施行された特定技能外国人法に基づくものです。
送出機関を通さない人材雇用は違法になり、罰則の対象になりますので注意が必要になります。
送出機関を通す目的は以下の通りです。
- 適正な人材の選定・紹介
- 必要な手続きのサポート
- 生活支援・サポート
- 労使間のトラブル防止
- 法令遵守の徹底
【要件②】 適切な雇用契約を締結していること
雇用企業は特定技能でカンボジア人を雇用する際には適切な雇用契約を締結し、内容を労働基準法に基づいて定める必要があります。
具体的には、以下の内容を記載する必要があります。
- 職種
- 労働時間
- 休憩時間
- 賃金
- 社会保険加入
- 雇用期間
- 解雇条件
- その他、労働条件に関する事項
【要件③】 各分野の協議会に加入すること
特定技能でカンボジア人を雇用する場合、雇用主は該当する分野の協議会に加入する必要があります。
協議会への加入は特定技能でカンボジア人を受け入れてから4ヶ月以内に行う必要がありますので加入忘れには注意が必要です。
協議会の目的
協議会は、外国人雇用に関する情報提供や研修、相談窓口などのサービスを提供し、特定技能制度の円滑な運用を支援する目的があります。
【要件④】 過去1年以内に解雇等の会社都合の退職者や行方不明者がいないこと
特定技能でカンボジア人を雇用する場合、過去1年以内に解雇等の会社都合の退職者や行方不明者がいないことが条件となります。
これは「非自発的に離職させた外国人」を出していないことを示すものです。
「非自発的に離職させた外国人」に該当する例
- 天候不順や自然災害、経営悪化等の理由で希望退職を募集・勧奨して退職者が出た場合
- 賃金低下、賃金遅配、過度な時間外労働、採用条件との相違等の労働条件に係る重大な問題によって退職者が出た場合
- 故意の排斥、嫌がらせ等の就業環境に係る重大な問題によって退職者が出た場合
- 特定技能外国人労働者の責めに帰すべき理由によらない有期労働契約の終了があった場合
例外となる場合
- 経営悪化等、企業側が合理的な理由に基づいて解雇等を行った場合
- 自己都合退職や懲戒解雇等、労働者側の都合による退職の場合
カンボジア人を雇用する際のカンボジア人側の要件
特定技能でカンボジア人を雇用する際のカンボジア人側が必要になる要件には以下の7つがあります。
【カンボジア人側が満たすべき7つの要件の一覧表】
7つの要件 | 詳細 |
---|---|
登録証明書の発行申請 | 受入機関を通してカンボジア労働職業訓練省(MoLVT)へ登録証明書の発行申請を行うこと |
出国前オリエンテーションの受講 | 円滑な入国・生活と職場適応を促進するためのオリエンテーションを受講すること |
年齢 | 満18歳以上であること |
技能 | 分野ごとの特定技能の技能検定に合格していること |
日本語能力 | 日本語能力試験N5以上に合格していること |
健康状態 | 入国時に、伝染病その他の疾病にかかっていないこと |
犯罪歴 | 過去に重大な犯罪を犯したことがないこと |
これらの必要になる要件を満たしていない場合は、特定技能としてカンボジア人を雇用することができませんので注意が必要です。
カンボジア人を特定技能で雇用する際にかかる費用
特定技能でカンボジア人を雇用する際に必要になる費用を以下の表にまとめていますので参考になさってください。
掛かる費用の項目 | 相場 |
---|---|
登録支援機関への委託費用 | 毎月約2〜3万円 |
送出機関への手数料 | 20〜30万円程度 |
在留資格認定や入管申請の書類作成費用 | 10〜20万円程度 |
出入国在留管理局への収入印紙代 | 4,000円 |
渡航費 | 約8〜15万 |
健康診断の費用 | ※オプション追加の場合は4〜5万円程度 | 約2〜3万円
給与 | 約20〜30万円 |
これらの費用はあくまで目安であり、経験や能力が高いほど、給与が高くなります。
カンボジア人を雇用する際には必ずカンボジア政府が公認している送出機関を通す必要がありますので注意が必要です。
カンボジア人を特定技能で雇用する際の2つの申請の流れ
カンボジア人を特定技能で雇用する申請の流れは「海外に在留しているカンボジア人を雇用するのか」「日本に在留しているカンボジア人を雇用するのか」によって異なります。
それぞれの申請の流れをお伝えしていきます。
【ルート①】海外に在留しているカンボジア人を雇用する場合
海外に在留しているカンボジア人を雇用するまでの流れをお伝えしていきますので参考になさってください。
- 送出機関を通して人材を探す。
- 雇用契約を締結
- 登録証明書の発行申請
- 在留資格認定証明書交付の申請
- ビザ発給申請
- 出国前オリエンテーションの受講
- 特定技能として入国して就労開始
1.送出機関を通して人材を探す。
カンボジアに在留しているカンボジア人を雇用する際には、受入企業はカンボジア政府認可の送出機関を通して人材を探す必要があります。
カンボジア政府が認定している送出機関は100社ほどありますが、送出機関を選ぶ際には、以下の点に注意しましょう。
- 雇用を考えている職種分野の実績があること
- 日本語対応ができること
- 必要なサポートを提供できること
- 手数料が明確であること
2.雇用契約を締結
受入企業とカンボジア人求職者が合意すれば、送出機関を通して雇用契約を締結していきます。
雇用契約書には、以下の事項を記載する必要があります。
- 職種
- 勤務時間
- 休憩時間
- 賃金
- 休暇
- 社会保険加入
- 雇用期間
- 解雇条件
- その他
3.登録証明書の発行申請
カンボジア人が特定技能で働くためには、雇用契約を締結した後に、認定送出機関を通じて、登録証明書の発行をカンボジア労働職業訓練省(MoLVT)に対して申請する必要があります。
カンボジア労働職業訓練省(MoLVT)とは、カンボジア人の雇用機会の創出と技能向上、労働条件の改善、労働関係の安定化などに取り組んでいるカンボジア政府の省庁になります。
主な役割としては以下の通りです。
- 労働法の制定・施行
- 労働条件の監督
- 職業訓練の実施・支援
- 外国人労働者の管理
- 国際労働機関(ILO)との連携
MoLVTへ登録証明書の発行申請には費用はかかりませんが、送出機関への仲介手数料を支払う必要があります。
登録証明書の発行申請に必要な書類一覧は以下の通りです。
登録証明書の発行申請に必要な書類一覧 | 詳細 |
---|---|
1. 申請書 | 特定技能外国人受入申出書(法務省所定様式) |
2. 誓約書 | 誓約書(法務省所定様式) |
3. 雇用契約書 | 雇用契約書(写し) |
4. 報酬説明書 | 報酬説明書(写し) |
5. 技能試験合格証書等 | 技能試験合格証書等の写し |
6. 日本語能力試験の結果証明書等 | 日本語能力試験の結果証明書等の写し |
7. 健康診断書 | 健康診断書(写し) |
8. パスポート | パスポートの写し |
9. 在留資格認定証明書 | 在留資格認定証明書(写し) |
10. その他 | ・技能実習修了証書(技能実習生の場合) ・その他(MoLVTが必要と判断したもの) | ・送出機関の登録証明書
4.在留資格認定証明書交付の申請
カンボジア人を雇用するには、地方出入国在留管理局に在留資格認定証明書の交付申請を行う必要があります。
在留資格認定証明書の交付申請には、以下の書類が必要です。
- パスポート
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 特定技能外国人雇用許可証
- 登録証明書
- 技能試験合格証など
5.ビザ発給申請
次に特定技能ビザの申請を行います。
特定技能ビザの申請には以下の書類が必要になります。
- 在留資格認定証明書
- パスポートなど
6.出国前オリエンテーションの受講
カンボジア人が特定技能で日本で働くためには送出機関が開催する出国前オリエンテーションの受講が必要になります。
オリエンテーションは円滑な入国・生活と職場適応を促進するために大切です。
主なオリエンテーションの内容は以下の通りです。
- 日本に関する情報
- 日本の文化・習慣、社会制度、生活環境等
- 特定技能制度に関する情報
- 入国・生活に関する情報
- 入国手続き、生活に必要な手続き、医療機関等
- 職場適応に関する情報
- 職場のルール、マナー、コミュニケーション等
- その他
- 質問・相談
7.特定技能として入国して就労開始
ビザが交付されたら、カンボジア人は来日することが許可され、就労を開始することができます。
参考文献:カンボジア国籍の方々を特定技能外国人として受け入れるまでの手続の流れ
【ルート②】日本に在留しているカンボジア人を雇用する場合
日本に在留するカンボジア人の雇用を行う場合は以下の申請の流れが一般的です。
- 雇用契約を締結
- 登録証明書の発行申請
- 在留資格変更許可申請
- 就労開始
1.雇用契約を締結
まず、受入企業は特定技能外国人として受け入れたいカンボジア国籍の人と、特定技能に関する雇用契約を締結します。
日本に在留しているカンボジア人と雇用契約を行う際には、現地の送出機関を通す必要がなく、直接採用活動を行うことが可能です。
雇用契約書には、以下の事項を記載する必要があります。
- 職種
- 勤務時間
- 休憩時間
- 賃金
- 休暇
- 社会保険加入
- 雇用期間
- 解雇条件
- その他
2.登録証明書の発行申請
日本に在留しているカンボジア人を特定技能で雇用する場合でも、送出機関を通じてカンボジア労働職業訓練省(MoLVT)に登録証明書の発行申請を行う必要があります。
登録証明書の発行にかかる期間は、約2~3営業日になります。
3.在留資格変更許可申請
カンボジア国籍の人が特定技能外国人として就労するには、自身が地方出入国在留管理官署に「特定技能」への在留資格変更許可申請を行います。
在留資格の変更には2ヶ月ほど掛かるので期間に余裕を持って申請することも大切になります。
4.就労開始
在留資格の変更申請の許可が下りれば、就労を開始できます。
参考文献:カンボジア国籍の方々を特定技能外国人として受け入れるまでの手続の流れ
カンボジア人を特定技能で雇用する3つのメリット
特定技能を活用してカンボジア人を雇用する際には3つのメリットがあります。
カンボジア人を雇用する3つのメリット |
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①忍耐強さと困難に立ち向かう姿勢 ②協調性が高い国民性 ③積極的なコミュニケーション力 |
【メリット①】忍耐強さと困難に立ち向かう姿勢
カンボジア人は忍耐強く困難に立ち向かっていく姿勢を持っているので異国での生活にも適応しやすいメリットがあります。
特定技能として日本で働く際にも、新しい環境や言語、文化に適応するための努力を惜しまない姿勢が見られます。
この困難な状況でも諦めずに努力する姿勢は、周囲のスタッフの信頼を得られやすく、職場での人間関係もうまくいきやすい傾向にあります。
職場での人間関係をうまく構築できることは、離職率を低下させ、長期的に働いてもらえる可能性が高くなるメリットがあります。
【メリット②】協調性が高い国民性
カンボジア人の協調性が高い国民性は日本での就労に適応しやすいメリットがあります。
カンボジアは仏教を信仰する国で、約90%の人々が仏教徒だと言われています。
仏教の教えは温和さ、協調性、家族の結びつきを重視します。
仏教の影響から、カンボジア人は他人との関係を大切にし、争いごとを避ける傾向があります。
この他人との関係を大切にする協調性の高さは日本での就労でも周りのスタッフとの良好の関係を築きやすく、働きやすい環境を自ら作ることができます。
また、協調性が高まることで作業効率が高まり、企業の業績の向上も期待できます。
【メリット③】積極的なコミュニケーション力
カンボジア人は、積極的なコミュニケーションを取ることで良好な人間関係を築けるので日本での新しい環境にも適応しやすいメリットがあります。
カンボジアでは、近年、教育への関心が高まっており、多くの人が教育を受けています。
学校教育では、コミュニケーション能力の重要性が強調されており、積極的にコミュニケーションを取るための訓練が行われています。
この積極的なコミュニケーションの力は職場環境のチーム意識と士気を高め、業務効率の改善と向上が期待できます。
カンボジア人を特定技能で雇用する際の3つの注意点
特定技能を活用してカンボジア人を雇用する際には3つの注意点があります。
カンボジア人を雇用する3つの注意点 |
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①送出機関との契約が必要 ②送出機関への支払いが必要 ③時間の考え方の違いの理解が必要 |
【注意点①】送出機関との契約が必要
特定技能を活用してカンボジア人を雇用する際には、受入企業はカンボジア政府から認定を受けた現地の送出機関と契約して人材と契約する必要がありますので注意が必要です。
送出機関との契約は特定技能で雇用を考えている人材の円滑な受入とトラブル防止のために重要になります。
カンボジア政府が認定している送出機関は100件以上ありますが、送出機関を選ぶ際には雇用を考えている職種分野での実績がある送出機関を選ぶことも大切です。
また、以下にカンボジア政府が認定している送出機関の一覧を載せていますので参考になさってください。
→カンボジア政府認定の送出機関一覧
参考文献:カンボジアに関する情報
【注意点②】送出機関への支払いが必要
特定技能でカンボジア人を雇用する際には、受入企業は送出機関への支払いが必要になりますので注意が必要です。
送出機関に支払う費用には、特定技能外国人の募集、選考、日本語教育、生活オリエンテーションなどの費用が含まれ、約2,500ドル(日本円に換算すると約27万円)が相場になります。
送出機関に支払う費用を外国人に負担させることは違法であり、罰則の対象となりますので注意しましょう。
違反した場合の罰則
- 法人の場合: 500万円以下の罰金
- 個人の場合: 300万円以下の罰金
- 両罰規定: 上記に加え、法人の代表者等や個人が実際に行為をした場合にも、それぞれ法定刑と同じ罰金が科される
参考文献:外国人技能実習制度について
【注意点③】時間の考え方の理解が必要
特定技能でカンボジア人を雇用する際には、「時間の考え方の違いの理解」が必要になります。
カンボジア人は時間に対して柔軟で、緩やかなアプローチを好みます。
予定の時間が少し遅れても「しょうがない」と考えている方も多い傾向にあります。
一方、日本人は時間を厳格に守ることを重視します。
約束の時間に遅れることは非常識とされます。
ですので、特定技能でカンボジア人を雇用する際には時間に対しての教育をしっかりと行っていくことが大切になります。
また、受入れる企業もスタッフ全員に文化の違いを教育し、理解を得られた上で雇用をスタートすることが重要です。
特定技能でカンボジア人を雇用するには多くの手続きが必要になりますが、カンボジア人を雇用することは「忍耐強さと困難に立ち向かう姿勢」「協調性が高い国民性」「積極的なコミュニケーション力」など企業にとっては多くのメリットがあります。
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