「特定技能と技能実習のどちらを活用すればいいの?」
「そもそも違いは何?」
「どのような基準で選べばいいの?」
こんにちは。外国人人材の派遣会社マックスです。
弊社では数多くの人材派遣を行ってきましたが、上記の悩みを持つ方が少なくありません。
これらの制度って複雑すぎて、いまいち理解が難しいんですよね。。。
この記事を読むことで、特定技能や技能実習制度の基礎は網羅できるようになるので、ぜひ最後までご覧ください。
株式会社マックスでは「外国人採用のノウハウがない」「効率よく人材確保を進めたい」企業さまに、最適な人材を派遣する支援を行なっています。⇒株式会社マックスに相談する(無料)
執筆者:正木 圭
2018年に株式会社マックスに入社。
その後、2019年の特定技能制度の創設に伴い、登録支援機関業務を担当。
現在では特定技能に加え、様々な外国人材への職業紹介と支援に取り組んでいる。
執筆者:正木 圭
2018年に株式会社マックスに入社。
その後、2019年の特定技能制度の創設に伴い、登録支援機関業務を担当。
現在では特定技能だけでなく、様々な外国人材への職業紹介と支援に取り組んでいる。
運営会社:株式会社マックス
創業25年の外国人人材紹介・派遣会社。
人材派遣、特定技能受入れ支援(登録支援機関)、高度外国籍人材紹介、教育・研修など外国籍人材に関わるさまざまな事業を展開。
採用を検討している企業様に対しワンストップのサポートを提供している。
運営会社:株式会社マックス
創業25年の外国人人材紹介・派遣会社。
人材派遣、特定技能受入れ支援(登録支援機関)、高度外国籍人材紹介、教育・研修など外国籍人材に関わるさまざまな事業を展開。
【比較表付き】「技能実習」と「特定技能」8つの違いを紹介
「技能実習」と「特定技能」の違いを比較表にまとめると以下のようになります。
項目 | 技能実習 | 特定技能 |
---|---|---|
制度の「目的」 | 日本で技術を習得し祖国で広めてもらうための国際協力 | 日本の人材不足の解消 |
受け入れ可能な「業種・職種」 | 87職種(159作業) | 12業種(旧14職種) |
滞在可能な「在留期間」 | 技能実習1号:1年以内 技能実習2号:2年以内 技能実習3号:2年以内 ※合計で最大5年まで延長可能 | 特定技能1号:通算5年 特定技能2号:無期限 |
「転職」の可否 | 原則不可 | 可能 |
「家族滞同」の可否 | 不可 | 特定技能1号:不可 特定技能2号:配偶者と子供のみ |
受け入れる際に「間に入る団体」 | 監理団体 技能実習機構 送り出し機関 etc… | 特になし |
「受け入れ人数制限」の有無 | 制限あり | 制限なし ※ただし、介護と建設分野は制限あり |
人材の「技能水準」 | 特になし ※介護のみ日本語能力試験N4が必要 | 相当程度の知識や経験、日本語能力あり |
それぞれ詳しく解説していきます。
【違い①】 制度の「目的」
非常に重要な部分なのですが、特定技能制度と技能実習制度では根本的に「目的」が違います。
「技能実習制度」の目的 | 日本で技術を習得し祖国で広めてもらうための国際協力 |
「特定技能制度」の目的 | 日本の人材不足の解消 |
「技能実習制度」は、日本の高い技術を発展途上国の方に習得してもらい、祖国で広めてもらうための国際協力を目的としています。
「特定技能制度」は、人材確保が難しい産業で一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れて日本の人材不足の解消を目的としています。
目的の違いから、2つの制度には異なる点がたくさんあるわけですね。
【違い②】 受け入れ可能な「業種・職種」
受け入れ可能な「業種・職種」も大きく違います。
「技能実習」の業種・職種 | 87職種(159作業) |
「特定技能」の業種・職種 | 12業種(旧14職種) |
技能実習では2023年7月現在において以下画像のように、建設や食品製造などを含む87職種(159作業)を受け入れることができます。
※クリックで拡大可能
特定技能では2023年7月現在において、以下の12分野で受け入れが可能です。
- 介護
- ビルクリーニング業
- 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野
- 建設業
- 造船・舶用工業
- 自動車整備業
- 航空業
- 宿泊業
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
技能実習にあって特定技能にないパターンやその逆もあるため、注意が必要です。
この点は勘違いされる方が本当に多いです。。。
【違い③】滞在可能な「在留期間」
滞在可能な在留期間には以下のような違いがあります。
「技能実習」の在留期間 | 技能実習1号:1年以内 技能実習2号:2年以内 技能実習3号:2年以内 ※合計で最大5年まで延長可能 |
「特定技能」の在留期間 | 特定技能1号:通算5年 特定技能2号:無期限 |
技能実習は3号まで移行することで、最大5年まで在留可能です。しかし、3号まで移行するには実習生が技能評価試験を受けて合格する必要があります。
技能実習の目的があくまで「日本で技術を習得し祖国で広めてもらうための国際協力」であるため、無制限の滞在ができないようになっているのです。
特定技能は、在留資格を更新することで在留期間を5年まで延長可能です。また、2号へ移行することで無制限の滞在が可能になります。
しかし、特定技能2号は「建設業」と「造船業」のみであるため、無制限で滞在できる方は少ないのが現状です。
【違い④】「転職」の可否
転職の可否は以下の通りです。
「技能実習」の転職 | 原則不可 |
「特定技能」の転職 | 可能 |
技能実習は、目的が「労働」ではなく「実習」として扱われるため、転職という概念が存在しません。そのため、原則不可となります。
しかし、実習先の企業都合で他企業へ移籍することや、技能実習2号から3号へ移行するタイミングで移籍することなど、例外的に認められる場合もあります。
特定技能は、目的が「労働」であるため「共通分野」または「技能評価試験や日本語試験4級を合格」などの条件満たしている場合は転職可能です。
また、技能実習から特定技能へ移行するタイミングでも転職は可能です。
【違い⑤】「家族滞同」の可否
家族滞同の可否は以下の通りです。
「技能実習」の家族帯同 | 不可 |
「特定技能」の家族帯同 | 特定技能1号:不可 特定技能2号:配偶者と子供のみ |
技能実習では、帰国を前提に制定されたため家族帯同は不可能です。
特定技能では、2号を取得した場合に「配偶者と子供のみ」認められます。
親や兄弟の帯同はできないため、注意が必要です。
【違い⑥】受け入れる際に「間に入る団体」
受け入れ方法の違いは以下の通りです。
「技能実習」で間に入る団体 | 監理団体 技能実習機構 送り出し機関 etc… |
「特定技能」で間に入る団体 | 特になし |
技能実習では、「監理団体」「技能実習機構」「送り出し機関」などが間に入るため、企業と外国人だけで完結することができません。また、間に入る団体が多いため外部コストも高くなってしまいます。
特定機能では、上記の機関が間に入らないため、企業と外国人で完結可能です。そのため、採用から受け入れ後の体制まで自社対応することができます。
【違い⑦】「受け入れ人数制限」の有無
受け入れ人数制限の有無は以下の通りです。
「技能実習」の受け入れ人数 | 制限あり |
「特定技能」の受け入れ人数 | 制限なし ※ただし、介護と建設分野は制限あり |
技能実習では目的が「技術を祖国に持ち帰ってもらうこと」であるため、適当な指導が受けられるようにあえて人数制限が設けられています。
基本人数枠は、以下の通りです。
実習実施者の常勤の職員の総数 | 技能実習生の人数 |
---|---|
301人以上 | 常勤職員総数の20分の1 |
201人~300人 | 15人 |
101人~200人 | 10人 |
51人~100人 | 6人 |
41人~50人 | 5人 |
31人~40人 | 4人 |
30人以下 | 3人 |
特定技能では目的が「人材不足の解消」であるため、受け入れ人数制限はありません。
ただし、介護と建設分野は「常勤職員の人数まで」などの制限が設けられています。
介護と建設分野の方は注意が必要です!
【違い⑧】人材の「技能水準」
人材の技能水準は以下の通りです。
「技能実習」の技能水準 | 特になし ※介護のみ日本語能力試験N4が必要 |
「特定技能」の技能水準 | 相当程度の知識や経験、日本語能力あり |
技能実習では、特に試験が設けられていないため、技能は人によってばらつきがあります。
技能実習2号以上を取得している外国人は、すでに3年間以上の経験を持っている方も多いため、技能が高い方が多いです。
特定技能では、日本語試験やそれぞれの業種において技能試験が設けられているため、技能実習に比べて技能や日本語能力が大幅に高い傾向にあります。
「技能実習」と「特定技能」8つの違いまとめ
項目 | 技能実習 | 特定技能 |
---|---|---|
制度の「目的」 | 日本で技術を習得し祖国で広めてもらうための国際協力 | 日本の人材不足の解消 |
受け入れ可能な「業種・職種」 | 87職種(159作業) | 12業種(旧14職種) |
滞在可能な「在留期間」 | 技能実習1号:1年以内 技能実習2号:2年以内 技能実習3号:2年以内 ※合計で最大5年まで延長可能 | 特定技能1号:通算5年 特定技能2号:無期限 |
「転職」の可否 | 原則不可 | 可能 |
「家族滞同」の可否 | 不可 | 特定技能1号:不可 特定技能2号:配偶者と子供のみ |
受け入れる際に「間に入る団体」 | 監理団体 技能実習機構 送り出し機関 etc… | 特になし |
「受け入れ人数制限」の有無 | 制限あり | 制限なし ※ただし、介護と建設分野は制限あり |
人材の「技能水準」 | 特になし ※介護のみ日本語能力試験N4が必要 | 相当程度の知識や経験、日本語能力あり |
【比較表付き】「技能実習」と「特定技能」のメリット・デメリットを紹介
技能実習と特定技能の違いを比較した上で、それぞれのメリット・デメリットを見比べていきましょう。
「技能実習」のメリット・デメリットの比較表は以下の通りです。
メリット | デメリット |
---|---|
3年〜5年間かけて関係性を構築できる 人材確保が比較的簡単 | 外部コストが大きい 受け入れまでに時間がかかる 能力が水準に満たしていないケースがある 受け入れ後の事務が面倒 従事可能な作業内容に制限がある |
「特定技能」のメリット・デメリットの比較表は以下の通りです。
メリット | デメリット |
---|---|
外部コストが少ない 受け入れ人数制限がない(介護と建設除く) 受け入れまでに期間が短い 技能や日本語能力が高い 受け入れ後の事務が簡潔 | 転職してしまう可能性がある 企業都合での退職者がいる際に申請不可 人材確保が比較的難しい |
それぞれ順番に解説していきます。
「技能実習」2つのメリット
【メリット①】3年〜5年間かけて関係性を構築できる
技能実習では転職ができないため、3年間以上はほぼ確実に働いてもらうことができます。
ただし、転職できないからといって労働基準法に違反してよいわけではありませんので、その点は肝に銘じる必要があります。
【メリット②】人材確保が比較的簡単
技能実習では送り出し機関を活用することで集客を行うため、比較的簡単に人材確保が可能です。
「技能実習」5つのデメリット
【デメリット①】外部コストが大きい
技能実習では、入国時の航空券費用、技能兼店試験費用、資材の準備費など間に入る団体が多いだけに間接的に大きく費用がかかってしまいます。
また、入社後には監理団体へ管理費として一人当たり毎月約30,000〜50,000円への支払いが発生してしまいます。
【デメリット②】受け入れまでに時間がかかる
技能実習では国内の人材ではなく国外から人材を呼び寄せるため、入社までに時間がかかってしまいます。
【デメリット③】能力が水準に満たしていないケースがある
技能実習では、特的技能と違って入国試験がない(介護のみN4相当の日本語能力要件あり)ため、能力が水準に達していないというケースもあります。
そのため、自社にとってどのような能力が必要なのか事前に検討する必要があります。
【デメリット④】受け入れ後の事務が面倒
技能実習では技能実習日誌など、受け入れ後に作成の義務がある書類の対応をする必要があるため、事務が比較的面倒になっています。
【デメリット⑤】従事可能な作業内容に制限がある
技能実習では、職種だけでなく作業内容まで規定があるため、日本人と同じような業務に従事させることができません。
そのため、自由度という点では低いと言えるでしょう。
「特定技能」5つのメリット
【メリット①】外部コストが少ない
特定技能では技能実習に比べて、「監理団体」「技能実習機構」「送り出し機関」などが間に入らないため、間接的な費用が発生しません。
そのため、外部コストを安く抑えて外国人人材を採用可能です。
【メリット②】受け入れ人数制限がない(介護と建設除く)
特定技能では、介護と建設分野を除いて受け入れ人数制限がないため、人材不足の分だけ採用が可能です。
【メリット③】受け入れまでに期間が短い
特定技能では、国内在住者を雇用できるため外国から人材を呼び込む技能実習に比べて早く、外国人人材を受け入れることが可能です。
【メリット④】技能や日本語能力が高い
特定技能では、出入国在留管理庁より「入国時に技能水準、日本語能力水準を試験等で確認すること」や技能水準として「相当程度の知識又は経験が必要」と定められているため、能力が高い外国人人材を獲得しやすいです。
【メリット⑤】受け入れ後の事務が簡潔
特定技能では、間に入る団体が少ないことによって発生する事務が少なく簡潔になっています。
「特定技能」3つのデメリット
【デメリット①】転職してしまう可能性がある
特定技能は転職が可能となっている制度です。そのため、他に良い条件の仕事がある場合は直ちに転職してしまう可能性もあります。
そういったことが起こらないようにするために、受け入れ後には外国人の方が定着できるような施策を打つことが必須と言えるでしょう。
【デメリット②】企業都合での退職者がいる際に申請不可
特定技能外国人受入れに関する運用要領より、申請から直近1年以内特定技能外国人と同じ業務に従事する労働者(日本人も含む)で会社都合退職者がいる場合、申請ができないことになっています。
病むを得ない理由で会社都合になった場合は例外として認められるケースはありますが、その際は理由書を添付する必要があるため、できる限り会社都合退職者は出さないようにしないといけません。
【デメリット③】人材確保が比較的難しい
特定技能の方が受ける海外での試験が限定されていることがあり、技能実習と比べて人材確保が比較的難しい傾向にあります。
【重要】迷ったときのおすすめの選び方
迷った時は、以下の基準で選ぶことをおすすめします。
- 自社で働いてほしい業務が制度に該当するか
- どのような人材が欲しいのか
それぞれ解説していきます。
【選び方①】自社で働いてほしい業務が制度に該当するか
まずは働いてほしい業務が「特定技能」「技能実習」に該当するか調べることから始めてください。
該当されていない業務で外国人を働かせてしまうと、不法就労助長罪として取り締まられることもあります。
技能実習では作業内容が細かく設定されており、少しでも範囲を超えた作業を行なってもらうことはできません。
そのため、行ってもらいたい作業が明確である場合は技能実習でも問題はありませんが、幅広い業務を行なってもらいたい場合は特定技能での雇用がおすすめです。
【選び方②】どのような人材が欲しいのか
次に、自社が欲しい人材は「中長期的に働いてくれる人材」なのか「即戦力の人材」なのかを明確にしましょう。
技能実習の大きなメリットとして「3年〜5年間かけて関係性を構築できる」という部分があるので、期間を重視したい方は技能実習での雇用がおすすめです。
特定技能では大きなメリットとして「技能や日本語能力が高い」という部分があるので、日本人と同じように働いてもらいたい方には特定技能での雇用がおすすめです。
すべての「比較表一覧」と「まとめ」
以下にすべての比較表をまとめています。
項目 | 技能実習 | 特定技能 |
---|---|---|
制度の「目的」 | 日本で技術を習得し祖国で広めてもらうための国際協力 | 日本の人材不足の解消 |
受け入れ可能な「業種・職種」 | 87職種(159作業) | 12業種(旧14職種) |
滞在可能な「在留期間」 | 技能実習1号:1年以内 技能実習2号:2年以内 技能実習3号:2年以内 ※合計で最大5年まで延長可能 | 特定技能1号:通算5年 特定技能2号:無期限 |
「転職」の可否 | 原則不可 | 可能 |
「家族滞同」の可否 | 不可 | 特定技能1号:不可 特定技能2号:配偶者と子供のみ |
受け入れる際に「間に入る団体」 | 監理団体 技能実習機構 送り出し機関 etc… | 特になし |
「受け入れ人数制限」の有無 | 制限あり | 制限なし ※ただし、介護と建設分野は制限あり |
人材の「技能水準」 | 特になし ※介護のみ日本語能力試験N4が必要 | 相当程度の知識や経験、日本語能力あり |
メリット | デメリット |
---|---|
3年〜5年間かけて関係性を構築できる 人材確保が比較的簡単 | 外部コストが大きい 受け入れまでに時間がかかる 能力が水準に満たしていないケースがある 受け入れ後の事務が面倒 従事可能な作業内容に制限がある |
メリット | デメリット |
---|---|
外部コストが少ない 受け入れ人数制限がない(介護と建設除く) 受け入れまでに期間が短い 技能や日本語能力が高い 受け入れ後の事務が簡潔 | 転職してしまう可能性がある 企業都合での退職者がいる際に申請不可 人材確保が比較的難しい |
メリット・デメリットを比較すると全体的に特定技能の方が利点が多いですが、技能実習の方が最適な場合もあります。
あくまで「自社に合った制度はどちらなのか」という視点を持って制度を活用していただけると幸いです。
株式会社マックスでは、企業様のご要望に基づき最適な人材を派遣するサポートを行なっています。外国人採用でお悩みのある方がお気軽にご相談ください。⇒株式会社マックスに問い合わせる(無料)